皆川氏ゆかりの史跡を、いま一度見つめ直す

――史跡説明板の「ことば」から、歴史とまちづくりをつなぐ――

 栃木市には、戦国時代に名を馳せた皆川氏ゆかりの史跡など文化財が数多く残されています。皆川城や栃木城のような城郭遺跡はもとより、天下の趨勢にも影響を及ぼした小田原北条氏と皆川氏の古戦場などたくさんの貴重な歴史的文化遺産(史跡等)があります。そうした史跡等の前に立つ説明板は、訪れる人にその歴史を伝える大切な「ことば」です。しかし、その中には江戸時代の軍記物や根拠のない俗説をもとに書かれたものもあり、近年の研究成果と食い違う内容も少なくありません。皆川氏の歴史を正しく理解しようとする際に、誤解を招きかねない表現も多々見られます。

 私は、こうした現状を少しずつ見直していくことが必要だと考えています。少なくとも公の機関が設置した史跡説明板については、信頼できる史料や研究成果に基づいて、より正確でわかりやすい説明文へと再構成していく。説明板のない史跡等には、新しい説明文を考え、行政等に働きかけをしていく。観光等の民間団体が設置した説明板については、関係する団体等の理解をえたうえで、改善を促していく――12月に新たに設立される「皆川歴史研究会」は、そうした皆川氏に関する歴史の検証・研究活動を行えうる市内唯一の団体と考えています。

 しかしながら、こうした取組は、単に説明の誤りを正す作業ではありません。長く地域に語り継がれてきた伝承にも、その土地の人々の思いや時代背景が息づいています。それらを単純に否定するのではなく、地域文化のひとつとして、どう捉え、どう伝えていくか――そこにも目を向けながら、説明文のあるべき形を探っていきたいと考えています。

 さらに、史跡等の説明板を見直すことは、地域の魅力を再発見することにもなります。行政や地域団体等との連携も視野に入れ、市民参加型・協働型の研究活動として発展できればより良いものとなるでしょう。

 皆川氏の歴史を、より正しく理解し、より誇りをもって語れる栃木市へ――。
 その第一歩として、私は、市内各所にある史跡等の説明板に刻まれた「ことば」から地域の歴史を見つめ直す活動を進めていければと考えています。 

20251125 小林記

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